マーメイド
表演者: 荘野ジュリ
专辑类型: 单曲
介质: CD
发行时间: 2004-06-23
唱片数: 1
出版者: ビクターエンタテインメント
专辑简介
ふわふわと空気のように漂い、心に溶け込むような歌声。
ありきたりな日常から展開する幻想的な世界。
心の片隅に誰しもが抱える切なさを
海の中を漂うようなミディアムトラックに乗せる今作「マーメイド」
なんかココロにひっかかる???荘野ジュリ、2ndシングル。
映画やドラマで時折見かける、声高な演技が嫌いだ。
泣いたり喚いたり叫んだり。フルテンの感情を忙しく撒き散らす彼や彼女の日常は、文字通り、いつでもドラマチックでセンセーショナル。しかし、ホントの日常はそんなわけにはいかんのだ。本当に伝えたいコト―もっと微妙で些細でどうにも捉えきれない感情―は、淡々と流れていく日常の中で、泣いたり喚いたり叫んだりすることさえ出来ずに、ただポツリとそこにあるだけ。不意に―例えばビールと調味料以外の何も無い冷蔵庫を覗いた拍子とか―その感情の意味合いを頭で捉えてしまって、ポタリと感傷に引きずられた涙みたいなものが落ちることはあっても、大体は心の隅っこでポツリと、しんとしている。それが、日常というものだから。
荘野ジュリの歌は、しんとしている。その空気感に触れた瞬間、“この感じ、知ってる”気がした。彼女がその身を、想いを投影するモノは、いつもポツリと寂しい。ポツリと寂しすぎるから、声高に泣いたり叫んだり出来ない。それが、昨夜冷蔵庫にしまった筈のわたしの(或いはアナタの)やるせなさとダブる。“うんうん、その気持ち、わかるわぁ”などという(女同士にありがちな)シチュエーションや思考パターンに対するナマヌルイ共感じゃなく、痛みとか切なさそのものの肌触りが蘇る。それは、ずっと自分の中にあって、決して自ら触れないように用心して、でもどこかで誰かに知っていて欲しかった、やるせなさ。感傷というにはあまりに生々しい肌触りで、声高に感情として表現するほど立派なものでもない。何らかのシチュエーションやパターンに括られない、刹那的な情緒。そして、そんな繊細な感受性を、あくまでも自然と、心地よく聴かせてしまうボーカルの力量。表現力はもとより、声そのものの持つ透明感と包容力が、彼女はずば抜けていると思う。所謂“情念”的な匂いを一切感じさせない。音域の広さ、声量でもってここぞとばかりに歌い上げることもない。ニュートラルで、柔らかなトーン。一抹の憂いを含みながらも凛とした存在感を持った声。その声と、心地よく風通しよく緻密に構築されたトラックとによって生まれる、際立ったグルーヴとポピュラリティ。そうしたエッセンスが相俟って、それぞれのイマジネーションを膨らませ、それぞれの内にある物語を喚起させる。そんな訴求力が荘野ジュリの歌にはある。
声高な演技が嫌いだ、と冒頭で書きましたが、役者さんに言わせれば声高な演技―喜怒哀楽を直接的に叫ぶコトーは存外難しいものではないそうです。むしろ役者としてのセンスが問われるのは、台詞(言葉)そのものだけなく表情や仕草や佇まいから主題が匂い立つような演技であると。荘野ジュリの歌は、それと似ていると思います。
山崎聡美
曲目
1. マーメイド
2. 負け犬の遠吠え
3. 空っぽライター
4. 負け犬の遠吠え(maltese mix)
关键词:マーメイド